瀬古利彦(62)と鏑木毅(49)、この2人の接点を知っているとしたら筋金入りの陸上競技通だ。

 現在、瀬古は日本陸連のマラソン強化戦略プロジェクトリーダーとして東京五輪へと向かうマラソンランナーたちを先導している。現役時代は世界最強ランナーの呼び声も高く、マラソン15戦10勝。宗兄弟とのライバル対決は日本中の注目を集めた。しかし五輪という舞台では勝利の女神に微笑まれることはなかった。

 一方、プロトレイルランナーの鏑木は、トレイルランニングにおける実質的な世界選手権、ウルトラトレイル・デュ・モンブラン(UTMB。170km、累積標高10,000m)で、2009年に3位に入り日本人としてはじめて表彰台に登った。しかし早稲田大学時代には、人生の目標だった箱根駅伝への出場が叶わないという挫折を経験している。

 勘のいい人ならお分かりかもしれない。1990年、現役を引退した瀬古が母校・早稲田大学の競走部コーチに就任したときの部員のひとりが、鏑木だったのだ。鏑木は現在49歳になるが、いまだにトレイルランナーとして現役で、50歳で迎える来年2019年夏に再びUTMBへ挑戦することを表明している。

 コーチと学生という関係から四半世紀を経て、2人の邂逅が実現した・・・・・・

対談はNumber Web早大の生徒・鏑木から、コーチ・瀬古へ。30年後に伝えた「後悔」と「お礼」

撮影 濱田晋 / Photo by Shin Hamada