母 毅は地図が得意だったよね、昔から興味持って。小さいころから日本地図をそらんじて描けたくらい。車を大きなものに買い替えてからは、毅自身が計画を立てて、春夏秋冬、いろんなところに家族で出掛けました。ずっと毅の案内で、あっちへこっちへ。ときには間違ってとんでもないところへと連れていかれたけれど。なに毅、エラいところ来ちゃったよって。

父 地図変わり、ナビ代わり。あるときは松島から山を越えて、日本海まで行ったよな。

鏑木 小学校3、4年くらい? それが今に活きてるのかな。同じことやってるよ。山地図眺めて、ここはどんなコースなんだろう、今度はあそこに行こうってさ。

母 小学生が自分で行先決めて、計画を立てていたから、珍しがられたよね。

母 私たちが農家の畑仕事で苦労したから、毅は歯医者さんにでもなったら?なんて思ったことがあって、そう言ったら、『一生を部屋の中で過ごす仕事は、そんなこと自分には到底できない』って返事が返ってきて、印象的でしたね。それがこういう仕事になったんだって。

鏑木 収入がいいとか、安定しているとかいうよりも、とにかくいろんなところに行ける仕事に就きたいなって考えてたんだよね。部屋から見えるあの赤城山を眺めながら、その先まで、世界中いろんなところに行ってみたいなって、ずっと思ってた。

撮影 八木伸司 / Photo by Shinji Yagi